我が国の食生活は、過去半世紀余りの間に大きく変化し、特に動物性食品の消費が飛躍的に伸びています。その結果、食が豊かになると同時に世界でも類をみない長寿国となりました。 その一方で、文明の進歩による生活習慣の変化に伴い、生活習慣病の罹患率が増えています。この罹患率は、我が国の今後の少子高齢化に伴い、益々増加することが予想されており、生活習慣病の予防並びに健康維持は解決されるべき重要な課題となっております。 生活習慣病の予防には、食生活や運動等による生活習慣の改善が必要であります。食生活の改善に関して言えば、昔から「医食同源」といわれるように、病気を治すことと食事は、生命を養い健康を保つためのもので、本質的には同じであり、正しい知識に基づく、食生活の改善が必要であります。今後の食生活の改善には、食品成分の機能に関する情報の蓄積が必須であると考えられます。
その中で、近年飛躍的に消費量が増大した動物性食品の成分に関する情報の蓄積は、食生活の改善に極めて意義深いものであります。動物性食品の成分の中で、筋肉や脳に多く含まれているものの1つとしてカルノシンとアンセリンがあります。これらは、in vitro
で、抗酸化作用を示すことが知られています。また、ヒトでの摂取は、抗疲労効果、尿酸値低下作用、認知症改善効果等が知られており、サプリメントとしての需要が増えています。しかし、筋肉や脳中に大量の存在しているカルノシン・アンセリンの生理機能は十分に明らかにされているとは言えません。
このような背景から、カルノシン・アンセリンに関心のある研究者が集い、広く情報交換をする場として、私たちは11年前にカルノシン・アンセリン研究会を設立いたしました。本研究会では、講演会等を通じて、カルノシン・アンセリンの分布、機能について、議論を深めています。本研究会の趣旨をご理解いただき、今後も多くの方がご参加下さいますよう、心からお願い申し上げます。
2018年8月19日
カルノシン・アンセリン研究会世話人代表
西村敏英
【研究会の名称変更に際して】
研究会の設立から本年(2024年)で16年が経過しました。途中、International Congress on Carnosine and Anserine 2014との共同開催や日本栄養食糧学会のシンポジウムへの置き換え、コロナ禍による研究会開催中止などを経ましたが、合計14回の研究会を開催できたことは、ご講演者の先生方ならびに聴講にお時間を割いていただきました皆様のお蔭と心より感謝申し上げます。
当初、カルノシン・アンセリン研究会として発足しましたが、この間に研究分野では大きな広がりを見せ、特に水産・海洋生物学を中心にバレニンの機能解明についても積極的に取り組まれております。そこで、この研究分野の広がりを受け、カルノシン・アンセリンにとどまらず、バレニンも含めた「イミダゾールジペプチド」に関して、研究成果の普及や理解醸成を目指すこととなりました。
そこで、研究会名称を「イミダゾールジペプチド研究会」に刷新し、これまで以上に積極的な活動を行って参りたいと存じます。体制も一部代わりましたが、皆様からの変わらぬご支援、ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。
2024年5月26日
イミダゾールジペプチド研究会世話人代表
江草 愛
江草 愛(日本獣医生命科学大学)(代表)
居原 秀(大阪公立大学)(副代表)
友永省三(京都大学)(庶務;事務局)
佐藤三佳子(日本ハム(株))(幹事)
佐藤謙一郎(東海物産(株))(幹事;会計担当)
相澤光輝(焼津水産化学工業(株))(監事)
森脇浩樹(浜理薬品化学(株))(幹事)
早川 徹(北海道大学)(幹事)
川内暢子(東洋食品工業短期大学)(幹事;HP担当)
柳内延也(東海物産(株))(幹事)
渡辺斉志(SUNTORY BEVERAGE & FOOD ASIA PACIFIC)(幹事)